長引くデーティングのゆくえを見極める法則4つ
 

Eさん
6か月間、デーティングしている人と曖昧な関係が続いています。だいたい週末を一緒に過ごして、互いの家に行き、体の関係もあります。すでに恋人のような関係ですが、「ガールフレンドになってほしい」と言われません。彼の友達には私のことを「友人」と紹介していて、悲しくなりました。以前ちらっと彼の口から、元カノとの関係がトラウマで、まだ恋愛には前向きになれないと聞いたことがあります。I like youとかI like you a lotなどはたくさん言ってくれますが、彼が私のことをどれぐらい好きなのかわからなくて、辛いです。私は彼と付き合いたいと思っています。心のもちようを教えてください。
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ご相談ありがとうございます。

私がご相談をうかがって、Eさんは素晴らしいと思うことが1つあります。それは、「彼と付き合いたい」とはっきりおっしゃっているところです。Eさんは、彼のガールフレンドになりたいのですよね。自分で欲しいものがわかっていて、その気持ちを認めるのは勇気がいることです。恋愛で「彼氏彼女の関係になりたい」「結婚したい」など、今ある関係を深めたい気持ちがあったとしても、それがうまくいかないと今の関係にしがみつこうかな……という誘惑が出てくることがあります。「私が我慢すればすべてうまくいく」「彼にプレッシャーを与えたくない」と考えますが、本当は関係を深めたい気持ちにフタをしていることも多いのです。

さて、以下申し上げることは、あまり耳には心地よくないかもしれません。でも、自分のほしいものがわかっているEさんは、たぶん納得する部分があるのではと想像します。そして、読んだ後にご自身の信じる道に堂々と進まれるのではないかと思います。

多くの人が、恋愛には決まった法則などないと思い込んでいます。誰が誰と惹かれ合うのか、その原理は難解すぎてどんな物理学も解き明かせないと思われています。周りを見れば、カップルの数だけ違う形の恋愛があります。事実婚でラブラブの人もいれば、結婚して喧嘩ばかりの夫婦もいるでしょう。別れたりくっついたりを繰り返すカップルもいれば、お互い浮気をしてOkだという人もいることでしょう。パートナーシップは、「お互いがそれで納得しているのならそれでいい」とよく言われます。お互いが納得しているのならいい、は正しいですが、パートナーシップに法則がまったくない、は間違いです。実際は、人が惹かれあうにはそれなりの原理があり、うまくいく恋愛にはある程度決まった法則があります。完璧な法則ではありませんが、だいたいこれで間違いはないでしょう、というラインは引けます。

Eさんに役に立ちそうな法則をいくつか挙げますね。


法則その1:恋愛は現在の関係と、相手の行動を見ましょう。


パートナーシップは、現在の状態がすべてです。過去に相手がどう言っていたとか、将来こうなるかもしれないなどは、忘れましょう(たとえば過去にどんなに追いかけられても、現在相手が自分を追いかけていないのであれば、それが現状です。どんなに将来の話で盛り上がっても、現在将来に向けて行動が見られないのであれば、それが現状です)。

Eさんとお相手は現在、友達以上恋人未満ですね。彼はEさんが好きだと思いますよ。I like youは文字通り受け取っておきましょう。ですが、I like youは言葉で、行動ではありません。相手の行動をよく見てみましょう。彼はEさんとの関係を、次の段階に進めるための具体的な行動をとっていますか? いないとしたら、彼は友達で満足しています。好きだけど、友達がいい、というのが彼からの隠れたメッセージです。

さて、その現状を受け止めたら、Eさんにはたくさんの選択肢があることに気付いてください。はっきり迫るもよし、立ち去るもよし、彼とそのままの関係を続けながら他を探すもよしです。Eさんが変化を起こさない限り現状は続くと思われます。ここで現状から目をそらして、ファンタジーを夢見るのはとてもた易いことです。「もしかしたら待っていたら変わるかも」「もしかしたら彼は臆病なだけかも」「もしかしたらもう付き合っているつもりかも」・・・。現状を見るか、ファンタジーを見るかはEさんに任されています。現状は辛く、ファンタジーは甘いです。どちらを選ぶにしても、それは自分の責任においてだということを意識しておきましょう。

法則その2:相手が「付き合うのは無理」とほのめかしたら、その言葉を信じましょう。


デーティングが3カ月以内であれば、まだ様子をみましょう、と申し上げるところです。ですが、男性女性限らず、一定の期間を超えて相手が次のステップ(正式な付き合いや結婚など)に進みたくないのであれば、そのサインは現れます。たいてい「まだ恋愛する余裕がない」「以前、恋愛で傷ついた」「タイトル(ラベル)にしばられたくない」「仕事に集中したい」「まだ結婚には早い」「結婚制度に反対」・・・云々です。いろいろな理由があり、いろいろと言葉は変わりますが、これらはすべて「あなたとは付き合うのは無理or結婚は無理」というメッセージです。これが100%本音だと思ってください。

必ずしも二股をかけていたり、悪気があったりするのではありません。「無理なものは無理」というのが本音のことが多いです。「無理」と思っている人は、それを隠すことはまずありません。ただ、直接言うと角がたつので、いろいろな理由をつけたがる傾向はあります。もっと言うと、「待っても次のステップにいく保障はないけれど、あなたが待ちたいのであれば自分の責任でしてください、私には何も期待しないでくださいね」というメッセージも込められています。ですが、それも言うと角が立つので省く傾向があります。Eさんの彼は、「まだ恋愛には前向きになれない」と言っています。ということは、彼はEさんと付き合うのは無理、と表明したのです。

相手にしがみつく人は、待つことに積極的な意義を見出そうとしてしまいます。「今は無理でも将来は変わるかもしれない」「相手が仕事が一段落したら、相手が癒されたら、相手がもっと私に惚れたら変わるかもしれないから待ってみよう」と考えます(私も昔そうでした)。ですが、実際は逆です。もし相手が「付き合えない」と言った後でもあなたが関係を変えなかったら、相手は「あなたもこの関係に合意している」と受け止めます。「自分は次に行きたくないし、この人も次に行きたくないようだから、このままでちょうどいい」のです。相手は安心して今の関係を続け、あなたは不満を抱えながら袋小路に陥ることになります。

恋愛だけでなく、人づきあい全般において、人とどこまでの親密度で関わるかは、その人が決めることです。相手が境界線を引いたのであれば、あなたがそれを変えることはできません。ただ、それを受けてあなたがあなたの行動を変えることはできます。どうしても待ちたいのなら待ってみましょう。立ち去りたかったら立ち去りましょう。いずれにしても、あなたには選択肢があるのです。選択したら、その行動は「させられた」のではなくて、あなたの決断の結果なのだということを忘れないでください。Eさんはいつでも自由です。このことを覚えておきましょう。


法則その3:友達なら友達として、恋人なら恋人として、結婚相手なら結婚相手として振舞いましょう。

相手が次の段階に進む必要性を感じなければ、次の段階には行きません。客観的に見ると、Eさんのお相手がなぜEさんと付き合わないのかは明白です。ずばり、Eさんとはもうすでに「恋人のような関係」だからです。相手は、もう手に入れたいものをすべて手に入れているのです。もう満ち足りているのに、これ以上求める理由がありません。 

もしかしたらEさんは、すでに気持ちをほのめかしているかもしれません。ですが、行動でそれを示しているでしょうか。Eさんは彼との関係を変えることなく、続けていますね。行動を見ると、Eさんが彼に伝えているメッセージは「いまのままでいい」です。彼はそれを受け取っています。敢えて恋人にしなくても、Eさんがどこにもいかず、彼のそばを離れないことがわかっているのです。

一般的に、告白したり付き合いや結婚を申し込むのには勇気がいります。それは偽りのない自分の気持ちを伝え、判断を相手に任せるということです。それは自分の感情を伝えること、つまり自己開示をすることです。自分が裸の心で相手の前に立つと、自分が「無力Vulnerable」になります。男性はこれを苦手とする人が多いです。男性は自分の意見や考えは述べ慣れていたりしますが、「僕は悲しい」「僕は嬉しい」「僕は不安だ」のように、自分の感情をきちんと述べることには慣れていません。ところが、人間関係ではお互いがこの「無力」になることを経ないままでは、関係が深まらないという法則があります(そのため、自分の感情を伝えたがらない男性はたいていパートナーシップで苦労します)。

「無力」になりたくないけれど敢えてなる。そのためにはモチベーションが必要です。「彼女をつなぎとめておかなければ、どこかにいってしまうかもしれない」というのがそれです。失いたくなければ、男性は行動を起こします。Eさんの相手はEさんがどこにもいかないことがわかっているから、「無力」になる必要がありません。相手が「無力」になることなく関係が続けていける状態は、相手があなたをコントロールできる状態ということです。相手が人間として冷たいとか、悪気があるというわけでは必ずしもありません。相手が「無力」にならないことによって、いつのまにか対等な関係ではなくなっているのです。彼は力を手放すことなく、一方であなたはますます自信を失っていきます。

この関係を変えたければ、付き合っていないのにまるで付き合っていると勘違いさせるような行動を止めることです。Eさんは彼の友人なのですから、友人の枠を出ないつきあいをしましょう。「もし彼が単なる友人だったとしたら、何をして、何をしないか」考えることをおすすめします。そして、通常友人相手にはしないけれど彼にはしている行動を、全部止めましょう。相手がその関係に不満ならば、相手のほうから次の段階に進む行動を起こしてくるはずです。


法則その4:デッドエンドの恋愛からは、立ち去る勇気をもちましょう。


恋愛関係は、進めることがいつも必ず良いとは限りません。楽しめない関係からは、リタイヤすることも重要です。恋愛で一番大事なのは、それがあなたにとって楽で、楽しく、ポジティブな感情を刺激してくれることです。あなたがますます自信に満ち溢れて、相手と自分を丸ごと受け入れることを心地よく思えることです。逆にいえば、Eさんが今の関係がとても楽しいと思う人ならば、「恋人」だとか「結婚」という冠に特にこだわる必要はありません。今のままでいいのです。

ですが、Eさんはこの関係を楽しんでいませんよね。なので、彼との間に境界線を引きましょう。この場合は立ち去るということです。「立ち去る」と宣言したり、状況を説明をしたり、立ち去る演技をする必要はありません。ただ、黙って立ち去るだけでよいのです。

どうやったらそれができるのでしょう? 彼との関係をもう続けなくていいと心から思えるまで、自己肯定感を引き上げることによってです。自己肯定感は相手の気持ちの前にまず自分の気持ちを大事にしようと決めることによって、自分自身で上げることができます。慣れれば一人で簡単にできますが、最初は難しいでしょうからカウンセリングを頼ってください。「失うのが怖い」「一人になりたくない」「彼以上の人はいない」と関係にしがみついていると、立ち去ることは不可能に思えてきますよね。でも、あなたがあなたを十分に愛していたら、立ち去ることで失うものはなにもありません。誰があなたを拒絶しても、あなた自身はあなたを決して見捨てないと、決心してください。

Eさんが立ち去ることによって、彼の行動には変化が現れます。「Eさんをあきらめる」か「Eさんを取り戻そうとする」のどちらかです。さて、彼があきらめた場合、彼がEさんに気持ちがなかったことが明らかになります。自分を好きでない男性との関係を終わらせることができて、Eさんは得をしても損をすることはありません。

逆に彼がEさんを取り戻そうとした場合、Eさんは自分自身の声をしっかりと聞く必要があります。本当に彼と一緒にいたいのか。彼の関係を楽しめそうか。選択権は自分の手の中にあるのです。以前の関係とは違う、新しい関係が目の前にあることを確認してください。自分に忠実になって、対等な立場であなたの望む関係を築きましょう。

さて、Eさんが立ち去ることで、実際はEさんは何も失うものがありません。逆に、得をすることだらけですよね? 立ち去ることが敗北でないと、分かっていただけたでしょうか?

ダメな関係から足を洗う勇気を出すのは、恋愛でも最も辛い瞬間の一つかもしれません。でも、自分から立ち去ることができたとき、女性は強くなります。私自身、唇をかみしめてダメな関係から立ち去ることで、自分自身をたくさん見つめることができました。「私の心にある怖れはいったいどこから来ているんだろう」「私にとって、本当に居心地がいい関係とは何だろう」「私、男の人の何が好きなんだろう」「私の中の女性性ってなんだろう」……。そう、恋愛のみならず、人間関係は本当はぜんぶ、自分との対話なのです。あなたが自分としっかり向き合って対話をしたら、どんな関係も無駄ではありません。

Eさんは一つの関係をあきらめるかもしれませんが、そのことによって自分との関係を取り戻します。本当は、自分が信じられずに迷っているときが一番辛いはずです。涙が枯れるほど泣いてもいいのです。自分を信じることができた自分、ダメな関係から身をはがすことができた自分を褒めてあげましょう。

Eさんの明日が今日より良いものでありますように。
応援しています。


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